アーカイブ: 2020年6月1日

くさび状欠損とは

■WSD(くさび状欠損)ってなに?
みなさん、こんにちは。
当院には、お口にいろいろな悩みを抱えた患者さんがいらっしゃいます。その多くはむし歯や歯周病ですが、WSD(くさび状欠損)と呼ばれる病気をお持ちの方も珍しくありません。あまり聞きなれない病名ではありますが、誰にでも起こり得る歯の異常なので、詳しく知っておきましょう。

▼歯の一部が欠損する病気

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くさび状欠損とは、歯と歯茎の境目に位置する「歯頚部(しけいぶ)」で歯質の欠損が生じた状態です。くさび状にえぐられたような欠損が生じることから、このような名前が付けられています。一見すると「むし歯かな?」と勘違いしがちですが、くさび状欠損は基本的にむし歯菌の仕業ではありません。ですから、むし歯のように歯質が徐々に溶けていく、という現象も起こらないのです。
▼強いブラッシング圧で歯が摩耗する

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くさび状欠損の主な原因は、過剰なブラッシング圧です。研磨剤入りの歯磨き粉で、一生懸命ブラッシングしすぎることで歯が摩耗します。それが毎日続くと、歯頚部にえぐられたような欠損が生じてしまうのです。
▼歯頚部はエナメル質が薄い

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ただ、エナメル質というのは、人体で最も硬い組織であり、ダイヤモンドでなければ削れないのでは?と疑問に思う方も多いですよね。実際、エナメル質はとても硬い組織なのですが、過剰なブラッシング圧がかかり続けると、少しずつ摩耗していきます。
しかも、歯頚部は歯冠と歯根の境目であり、エナメル質が最も薄くなっている部位でもあるので、その下に存在している象牙質がむき出しとなるまでにはそれほど長い時間はかかりません。ちなみに象牙質は、エナメル質ほど硬くはなく、むし歯にかかるリスクも高いといえます。
▼くさび状欠損の症状と治療法

くさび状欠損では、象牙質が露出することによって「象牙質知覚過敏症」を発症することがあります。冷たい水や風が当たると「キーン」としみるあの症状ですね。そうした知覚過敏に対しては、専用の薬剤を塗ったり、フッ素で歯質を強化したりすることで症状の緩和を図ります。歯質が大きくえぐられていて、むし歯のリスクが上昇している場合は、レジンやセメントを用いて欠損を補います。

ちなみに、くさび状欠損は過度なブラッシング圧だけではなく、歯ぎしりや食いしばり、強い咬合力なども原因となることがあります。いずれも根本となっている原因を取り除かなければ、対症療法を施してもすぐまた再発してしまいます。
▼まとめ
このように、くさび状欠損はむし歯とは異なり、どちらかというとオーラルケアを頑張り過ぎてしまう人に起こりやすい病気です。その他、歯ぎしりなどのブラキシズムも関連が深いので、まずは根本的な原因を突き止めることが大切です。そこから最善といえる治療法を探していきましょう。

武蔵小杉の歯医者【関原デンタルクリニック】

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